
本業が忙しいのに、相場が気になってしまう。
その負担を減らす手段として、仮想通貨の自動売買を選ぶ会社員さんは増えています。
一方で、利益が出たときに必ずぶつかるのが、「この支出は経費になるのか」という問題です。
結論から言うと、会社員さんの副業的な運用では、経費は“直接必要”と説明できるものに絞られやすいと考えられます。
- ✅ (会社員の仮想通貨自動売買が「雑所得」になりやすい理由と、経費の基本ルール)
- ✅ (ツール代・手数料・PCや通信費の按分など、経費判断の実務ポイント)
- ✅ (20万円基準や住民税も含めた、申告で損しにくい進め方のヒント)
会社員の自動売買は「雑所得」前提で経費は絞られやすいです

会社員さんが仮想通貨の自動売買で得た利益は、原則として雑所得として扱われることが多いです。
この場合、経費は「その所得を得るために直接必要な支出」に限られる整理が基本です。
そのため、ツール代や取引手数料のように“取引と一体”の費用は説明しやすい一方で、家賃や光熱費などは論点になりやすいと考えられます。
「直接必要」かどうかで決まる理由と、見落としやすい境界線
所得区分が「その他雑所得」かで、経費の幅が変わる可能性があります
最近の解説では、同じ雑所得でも「その他雑所得」か「業務に係る雑所得」かの整理が話題になっています。
一般に、会社員さんの副業規模ではその他雑所得に寄ることが多いとされています。
その場合、「それがないと売買できない」レベルの支出に経費が寄っていく、という説明が見られます。
確定申告が必要になりやすい基準は「所得20万円超」とされています
給与を1か所から受けている会社員さんの場合、給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると、確定申告が必要とされています。
ここで重要なのは、判定が「利益」ではなく「収入-必要経費=所得」で行われる点です。
つまり、経費を適切に入れると申告ラインを下回ることもあり得ます。
自動売買は「支出の証明」がしやすい一方、按分が難しくなりがちです
自動売買は、ツール利用料やVPS、記録管理サービスなど、支出がサブスク化しやすいです。
このタイプの支出は領収書や利用明細が残りやすく、経費の説明もしやすい傾向があります。
一方で、PC・スマホ・通信費は私用と混ざりやすく「家事按分」が必要になり、根拠作りが弱いと否認リスクが上がる可能性があります。
経費にしやすいもの・判断が分かれやすいものの具体例
経費として説明しやすい支出(取引と直結するもの)
まず、取引そのものに直接ひも付く支出は、比較的説明が通りやすいと考えられます。
この領域は、「自動売買で利益を得るために必要だった」という因果関係が作りやすいからです。
代表例は次のとおりです。
- 取引所の売買手数料、スプレッド相当のコスト(取引形態による)
- 出金手数料、送金手数料などの手数料
- 自動売買ツール(ボット・EA・アルゴ)の購入費、月額利用料
- チャート分析ツール、アラート、API連携サービスの利用料
- 損益計算・取引履歴管理サービスの利用料
特に自動売買ツールの利用料は「取引に使っている」ことが明確なら、経費として主張しやすい部類です。
家事按分が必要になりやすい支出(PC・スマホ・通信費)
次に、会社員さんが悩みやすいのがPC・スマホ・通信費です。
これらは、仮想通貨自動売買にも使う一方で、私生活でも使うのが通常です。
そのため、合理的な基準で使用割合を出して、按分して計上するのが一般的な考え方とされています。
按分の考え方(例)
例として、15万円のPCを購入し、設定・検証・ログ確認などで仮想通貨自動売買に使う割合が30%だとします。
この場合、経費にできるのは15万円×30%という説明になります。
ただし、実務では購入金額や資産計上の要否など論点が絡むため、金額が大きい場合は税理士さんへの確認が安全です。
判断が分かれやすい支出(家賃・光熱費・書籍・セミナー)
在宅で自動売買の設定や監視をしていると、家賃や電気代も経費にしたくなるものです。
ただし、雑所得の中でも「その他雑所得」寄りだと、ここまで広い経費が認められにくいという見解も見られます。
また書籍・セミナー・情報商材のような「学びの支出」は、投資一般の趣味・教養と混ざりやすいため、説明力が問われやすい領域です。
この問題については様々な意見があります。
専門家は、経費化するなら「自動売買の運用に直結する内容」「購入目的」「いつ何に使ったか」を、記録として残す重要性を指摘しています。
(自動売買ツール代とVPS代は経費にしたいのですが、PCや通信費、家賃まで入れてよいのか迷っています。税務署に否認されるのが怖くて、結局何も計上できていません。)
この手の相談で多いのは、「入れてよいか」より先に、証拠の残し方が設計できていないケースです。
私の経験則では、まずは取引と直結する支出(手数料、ツール利用料、記録管理ツール)から固めると、申告の不安が大きく減ります。
次にPCや通信費は、いきなり高い按分率で押し切るのではなく、運用ログや作業時間のメモを残し、控えめでも合理的な割合で積み上げるのが現実的です。
家賃や光熱費まで踏み込むかは、所得区分や規模感で見え方が変わる可能性があります。
迷う場合は、税理士さんに「自動売買の運用実態」と「支出の一覧」を見せて、どこまでが安全圏かを先に線引きするのが堅実だと考えられます。
会社員が損しないための「経費」と「記録」の整え方
会社員さんの仮想通貨自動売買では、経費の可否と同じくらい、記録の整備が重要です。
特に雑所得では、「直接必要」を説明できるかが判断の軸になりやすいとされています。
そこで、税務上の説明に耐える“運用の形”を先に作るのが効果的です。
最低限そろえたい3点セット
私が相談対応でおすすめしているのは、次の3点です。
- 取引履歴(取引所CSV、API連携の集計データ)
- 支出の証憑(領収書、クレカ明細、請求書メール)
- 使途メモ(何のために使ったかを1行で残す)
この3点がそろうと、経費の説明が「印象」ではなく、因果関係で語れるようになります。
結果として、申告作業のストレスも減り、相場への張り付きから距離を取るという自動売買の目的にも合致しやすくなります。
今日からできる現実的な一歩
仮想通貨の自動売買は、感情の暴走を抑えやすい一方で、税務は「仕組み化」しないと後回しになりがちです。
まずはツール代・手数料・損益計算サービスのように、説明しやすい支出から整理するのが安全です。
そのうえで、PCや通信費は按分の根拠をメモで残し、必要に応じて税理士さんへ相談する流れが、失敗しにくいと考えられます。
「経費にできるか」より先に「説明できるか」を基準にすると、判断がぶれにくくなります。




